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序章

Tシャツとジーンズで20年やってきた自分が、半年で抜けた話

── 雅号「黒T二十年」/ 三十八歳・自称オタク一名による

クローゼットを開ければ、黒いTシャツが七枚、洗いざらしのジーンズが二本、そして毛玉のついたパーカが一着。コミケに行く服も、秋葉原で本を買う服も、近所のスーパーに行く服も、全部おなじだった。誰にも何も言われない代わりに、誰の視界にも入らない二十年だった。

転機は半年前、地元の本屋でかつての同級生に再会した瞬間だった。こちらは平台の前で「鋼の錬金術師」の文庫版の続きを抱えていて、向こうはレジ前で奥さんと子供の絵本を選んでいた。「変わらないなあ」と笑われた、その「変わらない」が、ちょっとだけ痛かった。漫画もアニメもゲームも、二十年で確実に「変わった」のに、自分の服だけが止まっていた。

翌週、近所のユニクロに入った。GUにも、無印にも入った。ブランドの呪文も、季節のトレンドも、何ひとつ知らないままだった。けれど、半年経って気づいた──抜けるのに必要だったのは、たぶん値段じゃなく、順番だった

この巻に書くのは、その順番である。失敗も、後悔も、買い直した分も含めて。なお本サイトで「半年」と表記しているのは、実購入(2026年1月〜2月)から本稿執筆(6月末)までの約5〜6か月の経時を、まとめて「半年」と呼んでいる略称である。各品の購入月は本文中に明記している。

第一章

この巻に収めた章

── 第一巻はまず一篇から、続章は順次綴じ加える

第一巻は「服を買い直す側」の話から始める。Tシャツとジーンズを否定するわけではない。
その上で何を、どの順番で重ねていくかの話だ。

  1. № 01

    ユニクロ・GU・無印で揃える休日3日分

    土曜の渋谷、日曜の秋葉原、月曜の映画館。Tシャツとジーンズを抜けた最初の3日。半年使い込んだ14品の経時記録+失敗した3つも、隠さずに書いた。

    第一章 / 二〇二六 初夏号

次の章(構想中)「髪と眉と肌の、最小単位」を題に、服を変える前にやればよかった身仕舞いの話を綴じ加える予定。仕上がり次第、目次に追記する。

編集方針

この巻の編集方針

── 四つの約束

一、 Tシャツとジーンズを否定しない。
二十年それでやってきたのには理由がある。否定したら、過去の自分まで否定することになる。

二、 高い服を勧めない。
ユニクロ・GU・無印を主役にする。Amazon・楽天で扱う14品は「失敗しない周辺」だけに絞った。

三、 自分が買って、半年使ったものしか書かない。
「これ良いらしい」は書かない。「これを買って、こう使って、こう失敗した」だけ書く。各品には半年経時の所感を添える。

四、 装幀のように編む。
毎日めくる本のように、ふだん着を仕立てたい。三日で読み切る雑誌ではなく、棚に残る一冊として。